2007年 02月 27日
『さくらん』 |
監督:蜷川実花、脚本:キタキマユ、原作:安野モヨコ
吉原は玉菊屋のきよ葉は、気丈な性格と破天荒な行動ながら店で一、二の人気を誇る花魁だった。吉原に来た瞬間から出ていくことを望んでいたきよ葉が花魁になれたのは、子供の時分、面倒を見てくれていた花魁、粧ひに負けん気を刺激されたからに他ならなかった。店一番の人気者、高尾はそんな自由なきよ葉を苦々しく思っていたが、それは結果的に激情の末、高尾自身の破滅を導くことになる。名実ともにNo.1となったきよ葉だったが、その陰には静かに彼女を見つめる男がいた。
定番ではあるが、しっかりとした物語を得て、新人監督としては手堅い仕事っぷり。その上で自分のカラーを出そうという心意気やよし、である。幾分、スタイルが前面に出て主張するきらいはあるが、美術や照明の仕事を堪能するだけでも、凡百の日本映画を観るよりは価値がある。
しかし、芝居や演出といった面になると力不足は否めなくて、キャラクターの感情が湧きあがってこないし、次のシーンへと導いていくベクトルも感じられず、ただ在るものを撮りましたというだけに終わっている。それはなにも新人監督だからというだけではなくて、土屋アンナのミスキャストすれすれの存在にも因っていて、観ていてハラハラドキドキする反面、脇を固める俳優陣の達者ぶりが際立つという、かつての角川映画のような有り様である。
吉原は玉菊屋のきよ葉は、気丈な性格と破天荒な行動ながら店で一、二の人気を誇る花魁だった。吉原に来た瞬間から出ていくことを望んでいたきよ葉が花魁になれたのは、子供の時分、面倒を見てくれていた花魁、粧ひに負けん気を刺激されたからに他ならなかった。店一番の人気者、高尾はそんな自由なきよ葉を苦々しく思っていたが、それは結果的に激情の末、高尾自身の破滅を導くことになる。名実ともにNo.1となったきよ葉だったが、その陰には静かに彼女を見つめる男がいた。
定番ではあるが、しっかりとした物語を得て、新人監督としては手堅い仕事っぷり。その上で自分のカラーを出そうという心意気やよし、である。幾分、スタイルが前面に出て主張するきらいはあるが、美術や照明の仕事を堪能するだけでも、凡百の日本映画を観るよりは価値がある。
しかし、芝居や演出といった面になると力不足は否めなくて、キャラクターの感情が湧きあがってこないし、次のシーンへと導いていくベクトルも感じられず、ただ在るものを撮りましたというだけに終わっている。それはなにも新人監督だからというだけではなくて、土屋アンナのミスキャストすれすれの存在にも因っていて、観ていてハラハラドキドキする反面、脇を固める俳優陣の達者ぶりが際立つという、かつての角川映画のような有り様である。
by scarpiaii
| 2007-02-27 21:51
| 映画館