2005年 01月 19日
ブルジョワジーのお愉しみ |
現代でもこういう映画が製作され、映画館にかかるということに感謝すべきなのだろう。配給・宣伝会社に居たならば必ず、矢印が入り組んだ相関図を作るに違いない(実際、プログラムには相関図が!)恋愛模様を、突如、巴里のアメリカ人が現れることによって引き起こされる騒動と顛末という括りで描いたミュージカル『巴里の恋愛協奏曲』。
原作舞台を彷佛とさせる、古風で安定した映画作りはベテラン監督ならではの味わいで大いに楽しませてくれる。まるでTVコントのスケッチで、テリー・ジョーンズか志村けんが女装しているような扮装で登場するアパルトマンの管理人がセザール助演男優賞受賞という辺り、かの国の文化事情に疎い極東の観客には理解し難い部分もあるが、登場人物に対するシニカルな視点は、期待通りのフランスらしさ。ルノアール以来の伝統を感じさせる、下品でない下世話さを十二分に堪能できる。
しかし、こうして恋愛ゲームにうつつを抜かす人々の姿を見ると、あらためて恋愛至上主義というのは、事業やら持参金やらで食うに困らない人種の戯れだったのだと思い知らされる。好不況に一喜一憂するしがない労働者風情は、決して「お金がなくても愛があれば」なんて戯言、口が裂けても言えるはずがないのに、この100年ですっかりボヘミアン幻想が蔓延、"All You Need Is Love"とビートルズが歌う。まぁ、それに対してニコール・キッドマンが"A Girl Has Got To Eat"と応えて21世紀が始まった訳だが。
原作舞台を彷佛とさせる、古風で安定した映画作りはベテラン監督ならではの味わいで大いに楽しませてくれる。まるでTVコントのスケッチで、テリー・ジョーンズか志村けんが女装しているような扮装で登場するアパルトマンの管理人がセザール助演男優賞受賞という辺り、かの国の文化事情に疎い極東の観客には理解し難い部分もあるが、登場人物に対するシニカルな視点は、期待通りのフランスらしさ。ルノアール以来の伝統を感じさせる、下品でない下世話さを十二分に堪能できる。
しかし、こうして恋愛ゲームにうつつを抜かす人々の姿を見ると、あらためて恋愛至上主義というのは、事業やら持参金やらで食うに困らない人種の戯れだったのだと思い知らされる。好不況に一喜一憂するしがない労働者風情は、決して「お金がなくても愛があれば」なんて戯言、口が裂けても言えるはずがないのに、この100年ですっかりボヘミアン幻想が蔓延、"All You Need Is Love"とビートルズが歌う。まぁ、それに対してニコール・キッドマンが"A Girl Has Got To Eat"と応えて21世紀が始まった訳だが。
by scarpiaii
| 2005-01-19 23:48
| 映画館