2009年 02月 17日
【映画】You Know My Name 〜『007/慰めの報酬』 |
ぼくが今のハンドル名を使うようになってかれこれ10年が経つ。
最近では、本名も知らずにこの肉塊を「スカルピア」と認識してくれているヒトも多く、フェイク・アイデンティティー好きとしては嬉しい限り。
「スカルピア」を名乗るようになった経緯はたいしたことではないのだが、その名を何処からいただいてきたかと言えば、もちろんプッチーニのオペラ『トスカ』の登場人物からである。
さて、イオンプロ制作の007シリーズ第22作、ダニエル・クレイグ=ジェームズ・ボンド2本目の『007/慰めの報酬』には、ウィーンで上演される『トスカ』が登場する。
前作『007/カジノ・ロワイヤル』に引き続き、ホワイト氏の暗躍する謎の組織を追うボンドは、殺しのライセンスと言えば聞こえはいいが、図らずも死体の山を築きながら、イタリア、ハイチ、オーストリアへと手掛かりを追い続ける。
上司Mと英国情報部は手掛かりを次々と殺してしまうボンドに手を焼き、CIAはボンドが後を追ってきたドミニク・グリーンその人と取引している。彼を追って忍び込んだ『トスカ』上演中の劇場で、無線を使って会議をする黒幕の中には、ホワイト氏はもちろん、英国政府の側近まで名を連ねていたのだ。
映画自体はラフなアクション・シークエンスと、マーク・フォースター監督の生真面目なドラマ部分とが噛み合わずに損をしているが、物語は挑戦的で興味をそそられる。
暗殺者ではない、諜報部員にとっての殺しのライセンスとは何か、という問いかけを突き詰めた前半の追跡劇。
大切な人の死が心にもたらす、恨み・復讐心といった個人的感情を組織が翻弄する様が、中盤『トスカ』の引用で明らかになると、死んだスカルピアの意向を全うしようとするローマ警察のごとく、誰も望んでいない目的へ向かって突き進んで行く組織が、犯罪者のそれであれ、国家組織であれ大差ないことを暴き出してしまう。
そこで組織の一員である人間がするべき選択とは何か。ボンドが、Mが、CIAのフェリックス・ライターが、さらには少ない出番ながら、フィールズや、マティスが行う決断まで、その拠り所となっているが『Quantum Of Solace(原題=意味は「最低限の感情」といった感じ?)』なのだ。
ところで、本作に登場する『トスカ』は、でっかい目玉のセットが観客を圧倒するインダストリアルな雰囲気の異色演出なのだが、調べてみたら2007年ブレゲンツ音楽祭でのフィリップ・ヒンメルマン演出によるものらしい。DVDが出ているので観てみよう。
最近では、本名も知らずにこの肉塊を「スカルピア」と認識してくれているヒトも多く、フェイク・アイデンティティー好きとしては嬉しい限り。
「スカルピア」を名乗るようになった経緯はたいしたことではないのだが、その名を何処からいただいてきたかと言えば、もちろんプッチーニのオペラ『トスカ』の登場人物からである。
さて、イオンプロ制作の007シリーズ第22作、ダニエル・クレイグ=ジェームズ・ボンド2本目の『007/慰めの報酬』には、ウィーンで上演される『トスカ』が登場する。
前作『007/カジノ・ロワイヤル』に引き続き、ホワイト氏の暗躍する謎の組織を追うボンドは、殺しのライセンスと言えば聞こえはいいが、図らずも死体の山を築きながら、イタリア、ハイチ、オーストリアへと手掛かりを追い続ける。
上司Mと英国情報部は手掛かりを次々と殺してしまうボンドに手を焼き、CIAはボンドが後を追ってきたドミニク・グリーンその人と取引している。彼を追って忍び込んだ『トスカ』上演中の劇場で、無線を使って会議をする黒幕の中には、ホワイト氏はもちろん、英国政府の側近まで名を連ねていたのだ。
映画自体はラフなアクション・シークエンスと、マーク・フォースター監督の生真面目なドラマ部分とが噛み合わずに損をしているが、物語は挑戦的で興味をそそられる。
暗殺者ではない、諜報部員にとっての殺しのライセンスとは何か、という問いかけを突き詰めた前半の追跡劇。
大切な人の死が心にもたらす、恨み・復讐心といった個人的感情を組織が翻弄する様が、中盤『トスカ』の引用で明らかになると、死んだスカルピアの意向を全うしようとするローマ警察のごとく、誰も望んでいない目的へ向かって突き進んで行く組織が、犯罪者のそれであれ、国家組織であれ大差ないことを暴き出してしまう。
そこで組織の一員である人間がするべき選択とは何か。ボンドが、Mが、CIAのフェリックス・ライターが、さらには少ない出番ながら、フィールズや、マティスが行う決断まで、その拠り所となっているが『Quantum Of Solace(原題=意味は「最低限の感情」といった感じ?)』なのだ。
ところで、本作に登場する『トスカ』は、でっかい目玉のセットが観客を圧倒するインダストリアルな雰囲気の異色演出なのだが、調べてみたら2007年ブレゲンツ音楽祭でのフィリップ・ヒンメルマン演出によるものらしい。DVDが出ているので観てみよう。
by scarpiaii
| 2009-02-17 23:11
| 映画館