2007年 08月 12日
『ラザロ/蒼ざめたる馬』『ラザロ/複製の廃墟』 |
監督・共同脚本・編集:井土紀州
<蒼ざめたる馬>
バスルーム。マユミの足元には男の死体が転がっている。同居人のリツコとミズキは気が動転しているものの、マユミの指示に従い3人で男の死体を河原へ埋めにいく。それを忘れたくてボーイフレンドとの仲を深めていくミズキ。一方、リツコは死体の預金を使って贅沢を楽しむ。マユミはじっと待っている。
ミズキの心の揺れに気付いたリツコ、それを見てマユミは彼女たちに次の指示を出す。
<複製の廃墟>
偽札が散らばる河辺で血を流し倒れている男。彼、相沢は刑事で、このところ世間を騒がせている偽札事件の捜査をベテラン松村と組んで担当していた。捜査中、二人は車がぶつかる音を聞き駆けつける。走り去る自動車。撥ねられた老人。道の向こうに白い服の女をみつけ、目撃証言を得るべく相沢が追う。
その女マユミは轢き逃げは知らないと言い、偽札については逆に誰が被害者なのかと相沢に問い掛ける。相沢は彼女に惹かれ始めていた。
<蒼ざめたる馬>篇でぶっきらぼうに描かれたアナーキズムは、製作当初どの程度意図されていたのだろうか。まるで思いがけず撮影されてしまったかのような邪でない悪は、映画が生み出すものの底知れぬ可能性を秘め、人を惹きつける。いかにも自主映画然とした技術面でのクオリティの低さも、真実味という幻想の上では効果的である。
一方、<複製の廃墟>篇は、かなり自覚的だ。犯罪者を追う側に視点を変え、物語を構築しようという試みが、前作にあった根源的な恐怖を奪っている。それでも、大きく広げた風呂敷は、評価に値する挑戦であり、より映画的であったりもする。
<蒼ざめたる馬>
バスルーム。マユミの足元には男の死体が転がっている。同居人のリツコとミズキは気が動転しているものの、マユミの指示に従い3人で男の死体を河原へ埋めにいく。それを忘れたくてボーイフレンドとの仲を深めていくミズキ。一方、リツコは死体の預金を使って贅沢を楽しむ。マユミはじっと待っている。
ミズキの心の揺れに気付いたリツコ、それを見てマユミは彼女たちに次の指示を出す。
<複製の廃墟>
偽札が散らばる河辺で血を流し倒れている男。彼、相沢は刑事で、このところ世間を騒がせている偽札事件の捜査をベテラン松村と組んで担当していた。捜査中、二人は車がぶつかる音を聞き駆けつける。走り去る自動車。撥ねられた老人。道の向こうに白い服の女をみつけ、目撃証言を得るべく相沢が追う。
その女マユミは轢き逃げは知らないと言い、偽札については逆に誰が被害者なのかと相沢に問い掛ける。相沢は彼女に惹かれ始めていた。
<蒼ざめたる馬>篇でぶっきらぼうに描かれたアナーキズムは、製作当初どの程度意図されていたのだろうか。まるで思いがけず撮影されてしまったかのような邪でない悪は、映画が生み出すものの底知れぬ可能性を秘め、人を惹きつける。いかにも自主映画然とした技術面でのクオリティの低さも、真実味という幻想の上では効果的である。
一方、<複製の廃墟>篇は、かなり自覚的だ。犯罪者を追う側に視点を変え、物語を構築しようという試みが、前作にあった根源的な恐怖を奪っている。それでも、大きく広げた風呂敷は、評価に値する挑戦であり、より映画的であったりもする。
by scarpiaii
| 2007-08-12 20:53
| 映画館