2007年 01月 05日
『スキャナー・ダークリー』 |
監督・脚本:リチャード・リンクレイター、原作:フィリップ・K・ディック
麻薬潜入捜査官としてタイトロープな日々を送るボブ・アークターは、ある日自分自身の捜査を命じられる。他人には任せられないと引き受けた捜査で見えたのは麻薬中毒者そのものの自分。一体、なぜボブは疑われたのか。なぜ自分が捜査を命じられたのか。なぜこんな風になってしまったのか。様々な疑問に苛まれる中、徐々にボブ・アークター捜査の実態、本当の狙いが明らかになってくるが、ボブ自身もまた、重大な危機に直面していた。
淡々とした転落への日々が急転直下、通俗的ともいえるクライマックスを迎える辺り、いかにもディック風味なのだが、そんなケレンに溺れることなく、丹念に日常をスケッチし、自我の崩壊へ向かっていく主人公を活写した演出がすばらしい。ロトスコープによるアニメ化も、薬物中毒やアイデンティティ崩壊をダイナミックに表現するためには使われず、皮膚感覚の欠落をジワリと感じさせる程度の抑制の効いた効果を狙う。アンチクライマックスでありながら、不思議と爽やかなハッピーエンドを思わせるエンディングが、時を経るにつれて空恐ろしく思えてくる。
麻薬潜入捜査官としてタイトロープな日々を送るボブ・アークターは、ある日自分自身の捜査を命じられる。他人には任せられないと引き受けた捜査で見えたのは麻薬中毒者そのものの自分。一体、なぜボブは疑われたのか。なぜ自分が捜査を命じられたのか。なぜこんな風になってしまったのか。様々な疑問に苛まれる中、徐々にボブ・アークター捜査の実態、本当の狙いが明らかになってくるが、ボブ自身もまた、重大な危機に直面していた。
淡々とした転落への日々が急転直下、通俗的ともいえるクライマックスを迎える辺り、いかにもディック風味なのだが、そんなケレンに溺れることなく、丹念に日常をスケッチし、自我の崩壊へ向かっていく主人公を活写した演出がすばらしい。ロトスコープによるアニメ化も、薬物中毒やアイデンティティ崩壊をダイナミックに表現するためには使われず、皮膚感覚の欠落をジワリと感じさせる程度の抑制の効いた効果を狙う。アンチクライマックスでありながら、不思議と爽やかなハッピーエンドを思わせるエンディングが、時を経るにつれて空恐ろしく思えてくる。
by scarpiaii
| 2007-01-05 23:16
| 映画館