2012年 12月 30日
【舞台】音楽愛好家的2012年ステージ |
去年、こう書きました。
「LIVEも全然行かなかったので、来年はもうちょっとステージものを重視したいところ。」
今年もLIVEは全然だったけど、ミュージカルは…
行き過ぎだろ。
『ロッキー・ホラー・ショー』は東京公演初日と大千秋楽2回の観劇なので、11本12回、去年の倍。
これでも、秋口の大根仁演出×森山未來主演の『ヘドウィグ〜』や宮本亜門演出『ウィズ』を見逃しているのだから、観たいもの全部観てたら一体何本になるのだろうね?
ミュージカル『モンティ・パイソンのスパマロット』@赤坂ACTシアター
『ラ・カージュ・オ・フォール/籠の中の道化たち』@日生劇場
『ロッキー・ホラー・ショー』@池袋サンシャイン劇場
『マイワン アンド オンリー』@青山劇場
ミュージカル『エリザベート』@帝国劇場
オフ・ブロードウェイ・ミュージカル『リトルショップ・オブ・ホラーズ』@本多劇場
ミュージカル『サンセット大通り』@赤坂ACTシアター
ブロードウェイミュージカル『ピーターパン』@東京国際フォーラムホールC
ミュージカル『ファンタスティックス』@銀座博品館劇場
『RENT』@シアタークリエ
『プロミセス・プロミセス』@新国立劇場 中劇場
1月の3本はオカマ尽くし。『スパマロット』では池田成志が、『ラ・カージュ〜』ではもちろん市村正親が、『ロッキー〜』の主役古田新太も。でも一番の発見は『ラ・カージュ〜』の新納慎也!
『リトルショップ〜』の歯科医オリン役で完全にノックアウト!オカマ演技を引きずったようなエキセントリックな存在感で、登場した途端、完全に場をさらっていく。
是非、新納フランケンフルターで『ロッキー・ホラー・ショー』が観たい!
昨年『レ・ミゼ~』を観たので今年は『エリザ~』初体験。ウィーン・ミュージカル第1弾作品はなるほど、オーストリア国民にとって自国の『エビータ』が作られた感激と賞賛を一身にうけ、拍手喝采の中、産声をあげたに違いない。宝塚版~東宝版ときて日本語上演版は独自の進化を遂げているようだけど、作品の持つ育ちの良さは変わらず感じられる。
なぜいま?な感もある『マイワン アンド オンリー』(ブロードウェイ初演は1983年)。トミー・チューンとツイッギーの主演でガーシュイン兄弟の『Funny Face』をリメイク、として始まった企画は、蓋を開けてみれば度重なる演出家と脚本家の交代(初演時)が物語るようにフロップ感満載のアチャラカミュージカル。まずストーリーがむちゃくちゃ。それでも長身の坂本昌行は果敢にトミー・チューンに挑戦し、来日公演時にはサンディ・ダンカンが努めたヒロイン役の大和田美帆も頑張った。終盤、彼女がアンサンブルに紛れて身を隠してるときはホントにどれだか分からなかったもの!(褒めてます、彼女はお気に入り)
『マイワン〜』に続き、まさか日本で観られるとは思ってもいなかった作品が『サンセット大通り』。ロイド=ウェバーの大風呂敷が最大限に肥大していた頃の作品で、その大掛かりな舞台装置ゆえにツアー・カンパニーは不可能といわれていたので、日本公演が観られる嬉しさ反面、いったいどうやるの?といった疑問でいっぱいになりながら観劇。結果はベストとは言えないまでも大満足。原作が良いからというのもあるけどね。懸案の装置は(おそらく)少ない予算ながら、ミニマルに効果をあげられるようデザインされ、配置されており映画のシーンを彷彿とさせる箇所もいくつか。役者も日本人には難しすぎる役が多い中、違和感無く物語に引き込まれる素晴らしさ。特にノーマ役の安蘭けいとマックス役の鈴木綜馬は若すぎるんじゃないの?という不安を払拭してくれた。
もうひとつ『プロミセス・プロミセス』も98年の紀伊国屋サザンシアター公演を見逃して以来、待ちに待ったミュージカル。バート・バカラック&ハル・デイヴィッドによる初ブロードウェイ作品は長らく音盤で親しんでいて、映画『キャンプ』で"Turkey Lurkey Time"がミュージカルシーンとして映像化されたのを観たりして期待も高まっていた作品。舞台作品としては原作(映画『アパートの鍵貸します』)&楽曲ありきでまとまりを欠いており、初演当時(1968年)でも先行作品『努力しないで出世する方法』などサラリーマンものとの類似が気になったのではなかろうか。今回の日本公演は2001年のブロードウェイ・リバイバルを底本としており、初演には無かったバカラック/デイヴィッド作のヒット曲が追加され、さながらカタログ・ミュージカルの様相を呈しているが、それならもっとスピーディーにヒット曲レビューとして演出されていても良かったと思う。
『ピーターパン』と『ファンタスティックス』は自分のミュージカル好きの原点ともいえる作品で、序曲がかかった瞬間から落涙。約10年ぶりの『ピーターパン』は子供にやさしい3幕ものに仕立て直され、『新・〜』とついていた頃の演出と違って原作に敬意を払った、好ましいプロダクション。これまで強面&偉丈夫といったイメージできていたフック船長役に武田真治というのが新味。実際、武田フックはこれまでにない幼稚なフックで、ネバーランドが大人にならない者たちの世界であることを十二分に表現している。『ファンタスティックス』はここ数年日本で上演されてきた『亜門版〜』ではなく、日本初演でエル・ガヨ役を演じた(今回も)宝田明による演出版。『亜門版〜』がきらびやかさと引き換えに失ったオフ・ブロードウェイのシンプルさ、素朴さを目指した演出は旧来の『ファンタスティックス』ファンに響くだろう。
あまり評判の良くなかったエリカ・シュミット演出に代わり、オリジナルを手掛けたマイケル・グライフがブロードウェイ・リバイバルをもとに日本語上演を演出というので初日本語『RENT』。この作品が好きだということは再確認できたし、エンジェル愛は高まったけど、『RENT』はいまクラシックへと生まれ変われるかどうかの瀬戸際にいると思う。時代にコミットし過ぎた作品は、ときに時代とともに過去へと流されていく運命にあるけれど…
「LIVEも全然行かなかったので、来年はもうちょっとステージものを重視したいところ。」
今年もLIVEは全然だったけど、ミュージカルは…
行き過ぎだろ。
『ロッキー・ホラー・ショー』は東京公演初日と大千秋楽2回の観劇なので、11本12回、去年の倍。
これでも、秋口の大根仁演出×森山未來主演の『ヘドウィグ〜』や宮本亜門演出『ウィズ』を見逃しているのだから、観たいもの全部観てたら一体何本になるのだろうね?
ミュージカル『モンティ・パイソンのスパマロット』@赤坂ACTシアター
『ラ・カージュ・オ・フォール/籠の中の道化たち』@日生劇場
『ロッキー・ホラー・ショー』@池袋サンシャイン劇場
『マイワン アンド オンリー』@青山劇場
ミュージカル『エリザベート』@帝国劇場
オフ・ブロードウェイ・ミュージカル『リトルショップ・オブ・ホラーズ』@本多劇場
ミュージカル『サンセット大通り』@赤坂ACTシアター
ブロードウェイミュージカル『ピーターパン』@東京国際フォーラムホールC
ミュージカル『ファンタスティックス』@銀座博品館劇場
『RENT』@シアタークリエ
『プロミセス・プロミセス』@新国立劇場 中劇場
1月の3本はオカマ尽くし。『スパマロット』では池田成志が、『ラ・カージュ〜』ではもちろん市村正親が、『ロッキー〜』の主役古田新太も。でも一番の発見は『ラ・カージュ〜』の新納慎也!
『リトルショップ〜』の歯科医オリン役で完全にノックアウト!オカマ演技を引きずったようなエキセントリックな存在感で、登場した途端、完全に場をさらっていく。
是非、新納フランケンフルターで『ロッキー・ホラー・ショー』が観たい!
昨年『レ・ミゼ~』を観たので今年は『エリザ~』初体験。ウィーン・ミュージカル第1弾作品はなるほど、オーストリア国民にとって自国の『エビータ』が作られた感激と賞賛を一身にうけ、拍手喝采の中、産声をあげたに違いない。宝塚版~東宝版ときて日本語上演版は独自の進化を遂げているようだけど、作品の持つ育ちの良さは変わらず感じられる。
なぜいま?な感もある『マイワン アンド オンリー』(ブロードウェイ初演は1983年)。トミー・チューンとツイッギーの主演でガーシュイン兄弟の『Funny Face』をリメイク、として始まった企画は、蓋を開けてみれば度重なる演出家と脚本家の交代(初演時)が物語るようにフロップ感満載のアチャラカミュージカル。まずストーリーがむちゃくちゃ。それでも長身の坂本昌行は果敢にトミー・チューンに挑戦し、来日公演時にはサンディ・ダンカンが努めたヒロイン役の大和田美帆も頑張った。終盤、彼女がアンサンブルに紛れて身を隠してるときはホントにどれだか分からなかったもの!(褒めてます、彼女はお気に入り)
『マイワン〜』に続き、まさか日本で観られるとは思ってもいなかった作品が『サンセット大通り』。ロイド=ウェバーの大風呂敷が最大限に肥大していた頃の作品で、その大掛かりな舞台装置ゆえにツアー・カンパニーは不可能といわれていたので、日本公演が観られる嬉しさ反面、いったいどうやるの?といった疑問でいっぱいになりながら観劇。結果はベストとは言えないまでも大満足。原作が良いからというのもあるけどね。懸案の装置は(おそらく)少ない予算ながら、ミニマルに効果をあげられるようデザインされ、配置されており映画のシーンを彷彿とさせる箇所もいくつか。役者も日本人には難しすぎる役が多い中、違和感無く物語に引き込まれる素晴らしさ。特にノーマ役の安蘭けいとマックス役の鈴木綜馬は若すぎるんじゃないの?という不安を払拭してくれた。
もうひとつ『プロミセス・プロミセス』も98年の紀伊国屋サザンシアター公演を見逃して以来、待ちに待ったミュージカル。バート・バカラック&ハル・デイヴィッドによる初ブロードウェイ作品は長らく音盤で親しんでいて、映画『キャンプ』で"Turkey Lurkey Time"がミュージカルシーンとして映像化されたのを観たりして期待も高まっていた作品。舞台作品としては原作(映画『アパートの鍵貸します』)&楽曲ありきでまとまりを欠いており、初演当時(1968年)でも先行作品『努力しないで出世する方法』などサラリーマンものとの類似が気になったのではなかろうか。今回の日本公演は2001年のブロードウェイ・リバイバルを底本としており、初演には無かったバカラック/デイヴィッド作のヒット曲が追加され、さながらカタログ・ミュージカルの様相を呈しているが、それならもっとスピーディーにヒット曲レビューとして演出されていても良かったと思う。
『ピーターパン』と『ファンタスティックス』は自分のミュージカル好きの原点ともいえる作品で、序曲がかかった瞬間から落涙。約10年ぶりの『ピーターパン』は子供にやさしい3幕ものに仕立て直され、『新・〜』とついていた頃の演出と違って原作に敬意を払った、好ましいプロダクション。これまで強面&偉丈夫といったイメージできていたフック船長役に武田真治というのが新味。実際、武田フックはこれまでにない幼稚なフックで、ネバーランドが大人にならない者たちの世界であることを十二分に表現している。『ファンタスティックス』はここ数年日本で上演されてきた『亜門版〜』ではなく、日本初演でエル・ガヨ役を演じた(今回も)宝田明による演出版。『亜門版〜』がきらびやかさと引き換えに失ったオフ・ブロードウェイのシンプルさ、素朴さを目指した演出は旧来の『ファンタスティックス』ファンに響くだろう。
あまり評判の良くなかったエリカ・シュミット演出に代わり、オリジナルを手掛けたマイケル・グライフがブロードウェイ・リバイバルをもとに日本語上演を演出というので初日本語『RENT』。この作品が好きだということは再確認できたし、エンジェル愛は高まったけど、『RENT』はいまクラシックへと生まれ変われるかどうかの瀬戸際にいると思う。時代にコミットし過ぎた作品は、ときに時代とともに過去へと流されていく運命にあるけれど…
by scarpiaii
| 2012-12-30 23:59
| 劇場